晴れ時々ブー子ちゃん🐷

心に響いたことを載せていきます。

フォルテピアノ(ピリオド楽器)をご存じですか?✧(^▿^)✧ショパンが愛したピアノたち ˖✧🎹✧˖

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フレデリック・フランソワ・ショパンの生まれ育ったポーランド(ワルシャワ)で2018年9月第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールが開催された。

 

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 Photo AC


ショパン国際ピリオド楽器コンクールは、ピリオド楽器つまり古楽器で演奏する。


ショパンやベートーベンなどが生きた時代(18世紀から19世紀初)に演奏されていたピアノはモダンピアノ(20世紀以降)と区別してフォルテピアノ(Fortepiano)とも呼ばれる。

 

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出典元:フォルテピアノ

 

19世紀初頃、スタンウェイ【スタンウェイ・アンド・サンズ設立1853年】やヤマハ【ヤマハ株式会社設立1897年】はまだ存在していなかった。


ショパンの曲はフォルテピアノで作られたということになる。


ショパンを深く解釈していくなかで、作曲された当時の楽器の音そのもの、ピリオド楽器(フォルテピアノ)にたどり着いたのではないかと思う。




ショパン国際ピリオド楽器コンクールの開催にあたって、スタニスワフさんのメッセージだ。

 

国立ショパン研究所 芸術監督
スタニスワフ・レシチンスキキ(Stanislaw Leszczynski)

 

(中略)
フレデリック・ショパンや彼の同時代の作曲家の作品の真正な響き(authentic sound)を復元することは極めて重要です。作曲家が使用した楽器のオリジナルの音色やメカニクスに近づくことによって、私達はモダンな楽器による解釈からは失われてしまった独特のアーティキュレーション(one-of-a-kind articulation)と調和のとれた言語(harmonic language)を伴うショパンの音楽の、そのユニークな特徴を把握することができるのです。

引用元:ポーランド広報文化センター

 


繊細で音色も多彩な個性あふれるピリオド楽器たち。

今回はそのピリオド楽器(フォルテピアノ)に焦点を当ててみたいと思う。

 



まず、ショパン国際ピリオド楽器コンクールで使用されたピアノのご紹介をしたい 🎹🎼


ショパン国際ピリオド楽器コンクール

エラール(1838年、1849年、1858年制)
プレイエル(1846年、1854年制)
ブロードウッド(1843年)
グラーフ
ブッフホルツのコピー

引用元:ポーランド広報文化センター

 

モダンピアノによる通常のコンクールはショパン国際ピアノコンクールだ。そこで使われる現行公式ピアノのご紹介も 🎹🎼

ショパン国際ピアノコンクール

スタインウェイ D-274
ヤマハ CFX
SHIGERU KAWAI SK-EX
ファツィオリ

引用元:ショパン国際ピアノコンクール

 

2つあるショパンコンクール、新しいショパン国際ピリオド楽器コンクールの審査基準はどう違うのか気になるところだ。

(前略)

審査はショパンの音楽へのより深い解釈とフォルテピアノの可能性がいかに引き出されているかが焦点になる。

 

審査員
トビアス・コッホ

我々にできるのは我々の解釈を表現することだけですが、それこそが最も重要なこと

求めるのは決して完璧ではなく演奏者の"人となり"です。

 
引用元:「ショパン・時の旅人たち 第一回国際ピリオド楽器コンクール」

 

従来のコンクールとは違う、” 人となり ” という言葉に驚きを感じる。

ショパンが使っていたフォルテピアノを用いることで、その楽器の音まで大切にこだわり、ショパンの感性やニュアンス、音そのものの再現を演奏者に委ねているのだ。



コンクールでは、演奏者により曲ごとにピアノも自由に選定される。
表現するうえで重要なパートナーとなる個性豊かなピアノたち。

ショパンの感覚をそれぞれの解釈で最大限に表現するために、ピアノの選定は演奏者の強い想い入れを感じるところだ。






何年か前、サントリーホールでエラールを聴いたことがある。

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出典元:サライ.jp


広いホールの舞台に、モダンピアノとはひとまわりもふたまわりも小さく感じるピアノがちょこんと置かれてあった。どーん!という感じではないのだ。

外観も個性的な佇まいだ。
内に秘めるお茶目な雰囲気を感じつつ(ワタシダケカナ…)、エラールは凛とした気高さを醸し出していた。
見ためも音も存在だけで唯一無二、芸術的だ。


初めて実際に聴いたエラールの音は柑橘系な感じがした。モダンピアノが千疋屋や伊勢丹にあるピカピカのみかん🍊だとしたら、エラールは無農薬天然みかんのような音だと思った。音が無邪気なのだ。



後で知ったことだか、サントリーホールのエラールは福沢諭吉さんのひ孫にあたるエミさんからの寄贈らしい。

寄贈されるほど古楽器は今や貴重な存在だ。



演奏に耐えうるレベルまでの修復が難しく、複製されたものもある

フォルテピアノの中で、わたしが一番好きなブッフホルツがそうだ
モデレーターという音色の変わるペダルがついていて、嬉しくなるような機能いっぱいのピアノ。
低音の暖かみと高音のキラキラ感が抜群に好きだ。
扱いが難しい、難易度が高いと、ピアニスト泣かせなところもまたいい。




♫ 第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールの結果 ♫

第1位 Tomsz Ritter (Polska/Poland)
第2位 Aleksandra Swigut (Polska/Poland)
    
Naruhiko Kawaguchi (Japonia/Japan)

第3位 Krzysztof Ksiazek(Polska/Poland)

 

第2位に日本人の川口成彦さんが入賞!おめでとうございます!!
予選を含め、川口さんが様々なフォルテピアノの演奏をしていらっしゃるのでそれをYouTubeで紹介したいと思う ♬


同じ演奏家でもフォルテピアノによって音色は様々に違う。

モダンピアノのように均一に調整された音でなく、鍵盤の位置や音の領域によっても音色が変わるのだ。
わたしはパソコンをスピーカーに繋いでいますw🐷


 

プレイエル Piano:Pleyel 1842(Beunk)


予選にもかかわらず、カーテンコール3回!!!
拍手が鳴りやまなかった演奏。

切ないくらいの優しさで語りかけているようだ。(13:21~)
いつくしむような
川口さんの姿にも Bravo!
ここからがまた好き!(19:01~)


Sonata in B flat minor, Op. 35 (Second stage)

 

 

ブッフホルツ Piano : Buchholtz 1825 (NIFC)

モデレーターを使った演奏。モデレーターとは弦とハンマーの間にフェルトが入り、音色を変える特別なペダルだ。音がまろやかになる感じ。

モデレーター無しだと、キラキラ感が違うw(2:30~)
同じ旋律だが、モデレーターで音が変わっている(6:56~7:16…  
タブン🐷
きらきらしたベールで包まれた遠い懐古シーンのようだ。 

 Polonaise in B flat major [Op. 71 No.2](First stage)

 

 


エラール Piano: Erard 1837 (Beunk)

エラールはフォルテピアノの中では一番力強く迫力がある音だ。大きなホール演奏に向きと第3位のKrzysztof Ksiazekさんはファイナルステージで弾いていた。


このエラールは優しい音も素敵だ。芯のあるやわらかい音色に
 Bravo!

 Polonaises, Op.26 (Second stage)

 

 


ブロードウッド Piano: Broadwood 1848 (Maene)

笑顔で楽しそうな川口さん!

ピアノの両端っこの、くるくるのデザインもカワイイ😊

Mazurkas,Op. 24 (Second stage)





最後にファイナルステージの演奏 🎵

 

ここで注目したいのは共演する18世紀オーケストラも古楽器オーケストラなのだ!!

指揮者は世界的な指揮者グジェゴシュ・ノヴァクさん!

 

第2位 Naruhiko Kawaguchi (Japonia/Japan)

 

またまた3回のカーテンコール!!!

Bravo!!🎉🎉🎉

Piano : Pleyel 1842 (Beunk)


 Concert in F minor, Op.21 (final)





第2位 Aleksandra Swigut (Polska/Poland)



エラールの魅力がとてもよく引きだされていると思う! 🎊🎊🎊
鍵盤のタッチというか、音の切れ方が素敵!!

ダイナミックでありながら、とぎすまされたエレガントな演奏にウルトラBravo!!
Aleksandraさん、楽しそう!!カワイイ!! 😝

Piano : Erard 1837 (Beunk)


Concerto in F minor, Op.21 (final)




第1位 Tomasz Ritter (Polska/Poland)


いっとき、毎日のように聴いていました!!
👑👑👑

音の美しさと表現力の豊かさのバランスが絶妙なのだー!! 😆  

Piano : Pleyel 1842 (Beunk)


 Concerto in F minor, Op. 21(final)




今では大好き!!フォルテピアノ!!!

いかかでしたでしょうか?


 



その昔、子供のピアノの先生にフォルテピアノのことを話そうとしたら、
「お子さんは平均律のピアノを弾いているから、純正律のものを聞くと頭が痛くなったり、お子さんのためによくありません!」と言われてしまった。。
「お子さんのためによくない」専門家からのこの言葉に、当時私は弱かった。
調律師さんにも同じように言われた。

( 感覚トシテハ、逆ナンデスケド… )さすがに言えなかった。

それからというもの、わたしにとってこのフォルテピアノのことを話すことはクローズドな案件となったのだ。

 

 


最近、桐朋学園大学出身の若いピアノの先生にその話をした。
「可っ笑しー!!🤣」と笑って、桐朋学園大学には古楽器専攻があることを教えてくれた。


ホッとした。😊
たかが好みの問題を面倒に言われたものだ。気がつけば、あのピアノの先生も調律師さんも疎遠になっている。




わたしはもともとピリオド楽器も知らなかったし、ショパンも聴いていなかった。

子供がクラシックバレエをしていて、たまたまこのCDに出会った。

 

ミュージック・フォー・マラーホフズ・マスタークラス ベーシック

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出典元:TOWER RECORDS

 

バレエダンサーが、バーからフロアにだんだんとアップを進めていく過程を、優しく始まりフォルテをさらに強調しながら、ピアノ一本で感情まで乗せてサポートしていく感じだ。

なんとなく好きでずーっと車で聴いていた。
このピアノの音が違うことは気づいていた。

わたしの場合、そこからフォルテピアノを知り、ショパンにたどり着いた感じだ。

この「なんとなく好き」は、「とてつもなく大好き」に繋がるものだと知る。
大切なのは「なんとなく」をなかったことにしないことだと思う。

 


わたしがフォルテピアノに惹かれるのは音色が多彩なのはもちろんだが、綺麗に整いすぎてないというか、かしこまった感じでなく、とても豊かな個性を感じるからだ。

笑ったり泣いたり優しくささやいたり…強がったり怒ったり拗ねたり?…喜んだり凛としたりキラキラしたり…ピアノの表情がとてもとても豊かに感じられる。

 



なんか、純粋にかわいいのだ。

単純に聴いていたいものなのだ。

 

 





19世紀の始め頃、今のようにテレビやスマホもなかった時代。

 

 

 



ショパンはどんな景色を見ていたのだろう。

どんな想いを馳せながら、このピアノを弾いていたのだろう。

 

 

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 Photo AC

 


ショパン国際ピリオド楽器コンクールの開催を一番待ち望んでいたのは、ショパンかもしれない。😊

 

 

 

 



Dolun 🌼

 

 

 

 スタンプ作りました🌸